イースターの朝は卵探しから始まります。前日に休み中でも学校に残っている仲間たちや先生たちとイースターエッグの準備をしました。
私たちは午後から学校のキッチンへ集まりました。キッチンは普段からみんなの憩いの場所です。授業の合間の休み時間には、みんなここでコーヒーを飲んだり、お菓子を食べて過ごします。大きな窓ガラスからは、日が昇っていれば光が部屋の中にたくさん差し込みます。まるで温室の中にいるみたいです。また、大きな電気オーブンがあるので、誰かしらが料理していると、その余熱で部屋の中はいつも暖かです。
私たちはまず最初に固ゆで卵を作り始めました。殻にひびが入らないように注意しながら、ゆっくりゆっくり茹でていきます。そうして完全に卵が冷めてから、殻の上から色鉛筆やクレヨンで絵を描きます。
私たちはキッチンのテーブルに座って、一人ひとり真っ白な卵を手に取り、思い思いに描き始めました。野原にウサギが飛び跳ねている絵を描いている人、色とりどりのマーブル模様を描いている人、海の中にお魚がたくさん泳いでいる様子を描いている人。そうして、カラフルな色で飾られた卵が24個できあがりました。
イースターの朝はみんなで朝食をともにします。私たちは10時に学校のキッチンで集まることにしました。私たちが到着する前に、先生が卵を隠してくれていました。スタートの合図とともに、卵探しが始まりました。私は2個見つけることができました。七色の虹の模様のものと、お花畑にちょうちょが飛んでいるものです。それは、オーブンと食器棚の中に隠されていました。その他の卵はたちは、食器洗いの中に、ジャガイモ洗い機の中に、コーヒーポットの中など、いろいろな場所にありました。そうして、24個全部の卵がみつけられました。
さあ、朝食の準備です。テーブルにはクリーム色のクロスを掛けて、その中央に黄色い水仙の鉢植えを置きます。その横にはウサギをかたどったチョコレートをたくさん籠に入れて飾ります。人数分のお皿と、グラスを並べて、今日はイースターにちなんだひよこの模様がついたナプキンがフォークとナイフの横に添えられました。春を思わせる光と、生命の息吹を感じさせてくれる食卓の準備が整いました。
イースターはキリストの復活をお祝いするお祭りです。卵やひよこが象徴しているのは、再生という意味があります。朝食のメニューは上級生の女性のお手製パン。たくさんの小さな丸パンが、ひまわりのお花の形のようにつながっています。パンの上にはゴマとひまわりの種が乗っています。パンに塗るバター、りんごジャム、はちみつ。レタスとアルファルファのサラダ。コーヒーまたは紅茶。そして、イースターエッグです。
イースターの日には子供たちは魔女に扮装して、30センチくらいの長さのねこ柳の枝を数本と籠を持って家々を回ります。ねこ柳の枝には赤、緑、黄色、オレンジなどの着色された鳥の羽が付いています。魔女というと女の子のイメージが浮かぶと思いますが、男の子も魔女に変装します。
私たちが朝食を食べ終わったころ、2人の魔女がやってきました。小学生の女の子たちです。籠にはキャンデーが半分くらい入っているので、もう何軒か回ってきたようです。黒い頭巾をかぶって、長いスカートをはいています。顔はいったいなんで書いたのでしょう?ほっぺたが真っ赤、そして顔中に黒いそばかすのある魔女でした。
彼女たちはねこ柳の枝を私たちの胸の前で上下にゆっくり振って呪文を唱えました。
Viruvon varvon
ビルボン バルボン
Tuoreeks terveeks
トウオレークス テルベークス
Tulevaks vuodeks
トウレバクス ボウオデクス
Vitsa sulle
ビツサ スウレ
Palkka mulle
パルカ ムウレ
*訳
これから一年、あなたが健康であるように私はあなたにこの枝をあげます。だから、わたしにキャンディーをください。これで、私の一年間の健康は約束されました。
かわいい魔女さんたちありがとう!
イースターの日曜日を境に、ドイツ、スイス、フランスなどのヨーロッパのほとんどの国は冬時間から夏時間に変わります。フィンランドでも国中の時計の針を一時間早めます。これから、夏至に向かって昼の長さが日ごとに増していきます。そして、白夜を迎えます。
アントロポゾフィー歌唱療法士 平井久仁子