コトカをお昼過ぎに出発して、私たちはアンナ=カーリナの運転する車でマッティの故郷ポリに向かいました。
南東から南西に移動します。ポリまでは車で5時間くらいです。マッテイの家はレポサーリという島にありました。ポリからは長い橋を渡っていきます。
車の通る橋と、電車が通る橋が並行して架かっていて、去年の夏に彼らが橋を渡っているときに、隣の電車用の橋をヘラジカが渡っていたと話してくれました。泳いで渡るヘラジカもいたそうです。
300キロもの体重があるヘラジカが泳いでいる姿を想像するのは難しいのですが。。。どうやって泳ぐのでしょう???それとも彼たちにからかわれたのかしら?
途中に何度も休憩をしながら、夜の7時過ぎにマッティの家に着きました。
玄関のドアを開けると、彼のお母さん、お父さんが出迎えてくれました。マッティは今年の秋からドイツで勉強しているので、彼にとっても久しぶりの我が家です。
居間にはマッティの叔母さん、お兄さん、お兄さんの奥さん、そして子供たちが待っていました。子供たちは恥ずかしがって二階に上がる階段から私のことをちらちらと見ています。
「私はどこの国から来たと思う?」と彼らに話しかけると、「アフリカ!」という返事が返ってきました。これにはみんな大笑い。正解が出るまで10くらいの国の名前が呼ばれました。
私が日本から来たことを知ると、彼らは急いで階段から降りてきました。日本のアニメをフィンランド語に吹き替えたビデオを持っているのだけれど、主題歌は日本語のままで、なんて言っているのか教えてほしいと言います。
滞在中に彼らの家に必ず訪ねて行くことを約束しました。
レポサーリの町はとても静かな町です。まるで映画のセットのよう。
学校、郵便局、銀行、薬屋さん、金物屋さん、教会、スーパーマーケット、レストラン、どれも小さくて近いところに集まって建っています。
私が散歩に出た日は雪が降っていてとても寒い日でした。散歩中に誰にも会いませんでした。
でも、夏にはきれいなビーチがあるので、海水浴や観光客で賑わうらしいです。ジャズの祭典もあるみたいです。
28日は日曜日で、12時から行われる教会の礼拝に出かけました。木造の教会で、デンマーク様式で建てられたそうです。
ポリには大きな港があり、外国からもたくさんの船がやってきました。その当時のデンマークの船乗りたちがその教会を建てました。聖書にまつわる絵が天井に書かれていますが、どれも航海に関係したものばかりでした。
礼拝に集まったのは、私たちと御婆さん2人だけ。なんとも静かな礼拝でした。
私は月曜日の夕方のバスで家に帰る前に、マッティのお兄さん夫婦の家に遊びに行きました。
二階建てのテラスハウスで、共同の庭には共同で使うサウナ小屋が建っていました。
子どもたちと約束したとおりに、アニメの主題歌を訳してあげた後、みんなでご飯を食べました。
彼らはメキシコ料理のタコスを作ってくれました。トルティーアというトウモロコシの粉で作った薄いクレープのような生地を焼いたものに、チリで味付けした牛肉、レタス、トマト、チーズを挟んで食べます。
スパイシーで、かっかと体が熱くなる料理でした。寒い季節にはぴったりです。
何時までも彼らの所にいて、話を楽しんでいたかったのですが、バスの時間が迫ってきました。みんながバスステーションまで送ってくれました。
バスの中、車窓に映る町並みや森を見ながら、私は今回の旅のことを思い出していました。楽しい出来事、出会った人たちの事。
前にも増して、私はフィンランドが好きになり、この国への興味が尽きることはありません。