生徒さんから、レッスンしていて嬉しい事の一つに、平井さんは、私が歌っている時に、よく聞いてくれることです。
耳だけではなくて、全身を使って聞いてくれていることが伝わって、私に大切に接してくれているのが嬉しいとおっしゃってくれます。
私が生徒さんと、それから患者さんとレッスンをするときには、マニュアルというものはありません。それは、人間は一人一人違うからです。
決められたカリキュラムに沿ってやったとしたら、せっかくの個性は消えてしまいますし、第一、自由が奪われて、窮屈な思いをするのは、生徒さんと、患者さんです。
ピアノの前に二人で座って、私は伴奏をしながら、その人の声に耳を澄ませます。
すると、その声から今日の課題となるテーマが見つかり、それに適したエクササイズがやってきます。
私が生徒さん、患者さんの声を聞く時に、大切にしていることがあって、それは、その人の声に、こうなって欲しいという願望、思惑を捨てて聞く事。
それから、評価をしないで、客観的に聞く事。
この二つのことを行うと、私のエゴから生まれたエクササイズではなくて、そうじゃないところから、ぴったりのエクササイズがやってくるのです。
知識として学んだことはたくさんあって、前頭葉に関係する子音はWであるとか、Mは呼吸と結びつきが強いとか、その他たくさん。
でも、そんな知識からも解放されて、私の耳を開いていると、その人が望んでいる、ぴったりなエクササイズがやってくるのです。
だから、御一人御一人まるで違ったエクササイズになります。
オードーメード・エクササイズです。