先月のことです。私は京都で素敵な女性に会いました。
私の彼女に抱いた印象は、好奇心一杯に人生を楽しんで生きている人。
私たちが出会ったのは、コンサート後の打ち上げの席でした。イタリアンレストランに集まった人たちの中には、初対面の方も何人かいたので、自己紹介をすることになりました。
次から次へと美味しい料理がテーブルに運ばれてきました。
自己紹介が彼女の番になりました。
職業のことや、住んでいる地域のことなどを話されて、それから自分は交通事故の後遺症で味覚障害と臭覚障害があり、実はこの料理の味もはっきりとはわからないとおっしゃいました。
主治医の先生からは、味覚と臭覚が戻ることは無いと言われたそうで、それから4か月間は絶望の内に暮らしていたそうです。
でも彼女の凄いところは、その医師の言葉を鵜呑みにしなかったこと。
匂いを感じることができないからと諦めずに、いろんな匂いを嗅ぎ続けました。そして匂いが解る家族や友人にどんな匂いがするか言葉で説明してほしいと頼んだそうです。
きっと家族からのリンゴみたいな匂いがするよという言葉から、自分の記憶に残っている匂いをたぐりよせていらっしゃったのではないかと思います。
しばらくすると、匂いを感じるようになられたそうです。
味覚の方は、何を食べても味がしないけれど、口に入れた食物が美味しくなかったり、自分に必要な物でない場合は、もう我慢しても口の中に入れておけなくて吐き出してしまうようになった。
きっと私は食物のエネルギーみたいなものを感じられるようになったんだと思うとおっしゃていました。
以前は食物を食べる時には、味だけで食べていたけれど、味を失った分、エネルギーを感じるようになった。
最近、少し味覚も戻ってきていて、もしかしたら、今の新しく芽生えた感覚を味覚が戻った分だけ失ってしまうのではないかという思いもあって、もう味覚はこれ以上戻してくれなくてもいいですって、神様にお願いしているの。笑顔で彼女はおっしゃいました。
人間に備わってる力には計り知れないものが宿っているのだと、彼女の話を伺って思いました。
その計り知れない力を発動させたのは、まぎれもない彼女の力なんですよね。
本気で命を輝かせている。
これから、彼女は食に関するお仕事をされるそうで、益々パワフルに活躍されると思います。
彼女が作る料理はエネルギーに満ち溢れていることでしょう。
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