先日のことです。
道を隔てた隣の保育園の職員の方がアトリエ・カンテレを訪ねてみえました。
2017年4月にこの保育園は開園して、ちょうど1年を迎えられたご挨拶にいらっしゃったのです。
保育園が建つ前は広い空き地が広がっていて、カンテレの2階のベランダからは遠くの景色が見えました。
そこに保育園が建つ計画があることを知ったのは、2016年のことでした。
車の通り道にもなっておらず、この周辺に住んでいる人しか往来がない静かな環境でしたから、130人の子どもたちが集う保育園ができると知って、今の環境が大きく変わってしまうのではないかと思いました。
アトリエ・カンテレには音に敏感なクライアントや患者さんも通ってきているので、その方たちの為にも私は現在の環境を守りたいと思いました。
折しもその頃、住宅地に突然保育園の建設計画が持ち上がり、それに反対運動をしている自治体のニュースなどをテレビ、新聞などで目にする機会が多かったこともあり、私も心配しました。
でもまだ起こってもいない出来事に対して心配していても、その心配が解決することもなく、どんどん心配が膨らむだけです。
自分で勝手に心配に餌を与えて、大きく育てているようなことだと思いました。
そこで、私が心配している根本の問題は何があるのか。
それから、保育園が建ったと仮定しても仕事が支障なく行える条件を書きだしました。
紙に書きだして眺めてみると、自分の中でもやもやとしていた心配が整理されて、冷静になれました。
そして、市役所の担当部署に行き、私が行っている仕事の内容と、保育園にご配慮頂きたい事を文書として提出させて頂きました。
それから市が行う周辺住民に対する説明会で保育園の園舎を設計する建築家の方や保育園の責任者の方ともお会いできたので、その時にお話しすることがきました。
アトリエ・カンテレと保育園の間の道も広くはなく、車一台が止まればギリギリという道幅なのですが、出来上がった建物は、二階部分は一階の屋根幅いっぱいに建っていないので圧迫感がなく、アトリエの一階のレッスン室にある南向きの窓からは、以前と変わらない景色で空が見渡せます。
歌っている時にこの空を見ながら歌えることがとても気持ち良いと多くの方がおっしゃっていたので、これが変わらないで残っていたことが本当にうれしく思いました。
保育園の方たちも、朝と夕方の保護者の方たちの送迎の事とか、保育中の子供たちの事とかご配慮いただいています。
アトリエでのレッスンも以前と変わりなく、静かな環境で行えています。
朝早く職員の方が園舎の周りを掃き掃除していらっしゃるのですが、いつもアトリエの周りもお掃除して頂いて、それにも感謝しています。
昨年の大雪の時には、そんな日頃の感謝も込めて、園舎の周りの雪かきもお手伝いさせて頂きました。
園舎が建つ前に起こした行動をその当時はやりすぎかなとも思ったのですが、こちらの思いを伝えられたからこそ、今があるのだと思えるのです。
心配や悲観からは何も生まれないこと。身を持って学びました。
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