歌ったり、話したりしている時の声に、
精神性と生命力が内包されている声こそが、
人を感動させ、人を安らいだ気持ちにすることが
できるのではないかと私は考えています。
それは、技術的に優れている声でもなければ、
朗々と歌い上げる声とは限りません。
子供たちに子守歌を歌う母親の声にも、
授業をする先生の声にも、
台所で料理をしながら出る鼻歌のような声の中にも、
精神性と生命力が溢れている声。
それには、
歌っている時に自分の小さな自我を
静かにさせることが鍵なのではないでしょうか。
私が歌っているのよという気持ちや、
「私の歌を聞いて!綺麗でしょ、上手でしょ!」
という気持ちや、
「聞いている人達を感動させなきゃ」という気持ちも、
「私の声で癒してあげたい」という気持ちも、
「うまく歌えるかしら?」
「私の歌を気に入ってもらえるかしら?」
という気持ちも一切を脇に置きます。
そういった気持ちを脇に置いてあげれば、
主観的な気持ちを通して聴く耳は静かになって、
客観的に聴くことができるようになります。
自分の声を客観的に聴くことができると、
自分の本当の声と出会う事ができます。
そして、自分の本当の声とは、
作り変えられた声ではなくて、
もとからあなたが持っていた声に還るということです。
それは大きな自我の自分に還るということでもあります。
欲望や不安、恐れに満ちた小さな自我に縛られずに、
おおらかで、自由で、あなたの精神性を表している
大きな自我です。
自我というのは、私を「わたし」という意識のことです。
あなたは私のことを「わたし」と呼べませんし、
私はあなたのことを「わたし」と呼ぶことはできません。
「わたし」は私にとって、この世界でただ一人なのです。
だから、あなたの声もあなた一人のものです。
他の人はあなたの声を出すことはできません。
だから、あなたの声を大事にしてもらいたいのです。
変えようとしないでください。
そんな必要はありません。
それから、
あなたの声を変えさせようとする人がいたら、
それを当たり前のことと思わないでください。
「もっと大きな声を出して!」とか、
「もっと高い声がでるはずよ!」と言われたとしても、
その要求に応えようと無理をしないでください。
どうして、そのようなアドヴァイスをくれたのか、
その人と話しあってみてください。
そうすれば、その人が
人間の声をどのように扱っているかわかります。
もしかしたら、
人間の声を物質的な側面でしか捉えていなくて、
精神性や生命力のことなんて、
考えていないかもしれません。
人間は機械じゃないのですから、
ラジオのボリュームのつまみのように、
右に回したら大きくなって、
左に回したら小さくなるというような
単純さではないのです。
ソプラノかアルトか見極める為に、
声帯の長さを医者で見てもらいなさいという
先生もいるそうで、
それではまるで、
人間の声を機械だとばかりの扱いです。
声は機械のように操作するものではありません。
そして、自分の本当の声は、
人から評価されては見つけられないものです。
耳を澄ませて、
自分の中に「在る」ことに気がついていくこと。
幸せになりたいと望んでいては、
いつまでも幸せになれないのと同じだなと
私は思っています。
幸せはもうすでにそこに在って、
それに気が付けばいいだけですよね。
でも願望や欲が強ければ、
その幸せには気が付くことができない。
声も一緒だなと思います。
私は自分の本当の声で歌い、
語る人が増えれば、
この世界は変わっていくと思っています。
『歌を通して心と体を整える声の専門家』
シンギングセラピスト(歌唱療法士)平井久仁子
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