
2月は私にとって特に思い入れがある月です。
その2月が今日で終わろうとしています。
今から17年前の2月、私はこの仕事を始めました。
フィンランドに留学中、あと少しで卒業という頃に、父が病に倒れました。
私は急いで一時帰国し、約半年間、父に付き添い看取りました。
もうこのまま学びをやめることも頭をよぎりました。
けれど父は言いました。
「最後までやりなさい。こんなことで諦めないで卒業してほしい」と。
父の死後、私は再びフィンランドへ戻り、復学し、卒業しました。
父に歌唱療法をしてあげることは間に合いませんでした。
それは今も、胸の奥に静かに残っています。
でもその出来事が、私の覚悟を決めました。
中途半端にはやらない。
この学びを、人生をかけて深めると。
帰国後、実家の二階の一間を借り、
天井と壁を自分で塗り直し、小さなレッスン室を作りました。
最初の年のお客様は、4人ほど。
それでも、学んできたことを手渡せる喜びは、何にも代えがたいものでした。
留学を決めたとき、こんな言葉もかけられました。
「日本では誰も知らない分野だよ」
「帰ってきても仕事はないかもしれない」
「お金も時間もかけて、無駄にならない?」
けれど、不思議なくらい止めようとは思いませんでした。
ただ、学びたい。
ただ、もっと深く知りたい。
その気持ちは、5年間の準備期間でも揺らぎませんでした。
流行でもなく、
これを学べば道が開けるという保証があるわけでもなく、
ただ、
この道をまっすぐに歩いてみたかったのです。
17年。
それは、目の前の一人と誠実に向き合い続けた時間です。
喜びも、喪失も、希望も、すべて含んだ年月です。
そして、その年月をかけて磨き続けてきました。
その後、アトリエを建て、場所は変わりましたが、
声と向き合う姿勢は変わっていません。
あの小さな部屋から始まった火は、
17年経った今も消えていません。
むしろ、静かに、確実に、強くなっています。
2月は、私の原点の月。
これからも、
本気で学びたい方と、
本気で向き合っていきます。
ここまで歩いてこられたことに感謝しながら、
そしてこれからの時間に、静かな情熱を込めて。
もしあなたにも、心のどこかに灯っている「小さな火」があるなら、
その火を大切にしてほしいと願っています。
私の17年が、あなた自身の原点を思い出すきっかけになったら嬉しいです。
2026年2月の最後の日に。
明日も良い日になりますように。
今日も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。
アトリエ・カンテレ 平井久仁子
