24日のクリスマスイブは朝食後、みんなでクリスマスツリーの飾りつけをしました。
飾りはみんな金色で統一されていました。ハート形の飾りと、丸いボール型の飾りをバランスを見ながら付けていきます。
そして最後の仕上げに、一番てっぺんに銀色の大きな星を付けました。
多くの家では豆電球を蝋燭代わりにツリーに付けますが、アンナ=カーリナの家では本当の蝋燭を12本、蝋燭ホルダーに付けて飾ります。
4時から教会のクリスマスの礼拝に行くので、その前にサウナに入ることにしました。
クリスマスにはサウナで身を清める習慣があるのです。私はアンナ=カーリナと一緒にサウナに入りました。
ビヒタでお互いの体を叩き合いました。ビヒタは白樺の若枝を何本か束ねたもので、乾燥しています。
使う前にお水に漬けて柔らかくします。サウナに入りながら、この枝で体を叩きます。そうすると、白樺の香がサウナ中に漂うと同時に、皮膚からも白樺のエキスが吸収されて、体をリフレッシュさせ、風邪などにも罹りにくくなります。
すっかり身も清められ、私たちは教会の礼拝に出かけました。
そして、教会の後にはお墓参りに行きました。アンナ=カーリナのお父さんが眠るお墓に花を手向けて、蝋燭を灯して祈りました。
どの家庭でもこの日にお墓参りに来るようで、墓地は蝋燭の灯りでいっぱいでした。
帰って家のドアを開けると、お母さんが朝から準備していたキンクの匂いが漂ってきました。クリスマスツリーの蝋燭に火を灯して、みんなでディナーの準備をします。
キッチンのテーブルに食器を並べ、蝋燭に火が灯されて食事が始まりました。
フィンランドではクリスマスに、七面鳥でもなく、チキンでもない、キンクを食べます。豚の固まり肉に塩、コショウで味を付けて、オーブンで何時間も焼きます。焼きあがったら、その表面にマスタードを塗り、それからシナモン、砂糖をまぶします。
大きなお皿の上にそのキンクを盛って、各自が好きな分だけナイフで切って、自分のお皿に取り分けます。
でも、焦ってはいけません。メインの他にも美味しい料理がたくさんあるのです。
蒸したジャガイモにイクラとみじん切りの玉ねぎのクリームソース。
スモークサーモン。ニシンの酢漬け。
ロゾーリサラダ(茹でたビーツ、ニンジン、キュウリ、ピクルス、玉ねぎをそれぞれサイコロ型に切って混ぜたサラダ)。
ジャガイモとニンジンのポタージュスープ。
マッシュポテトのオーブン焼き。
そして、デザートはマリヤラハカ(ホイップクリームとサワークリームを混ぜたものに、イチゴとお砂糖を加えたもの)。
美味しいディナーを堪能した後は、ヨウルプッキ(サンタクロース)の登場です。みんなクリスマスツリーの周りに集まりました。
お母さんが隣の部屋から大きな麻の袋を引きずってきました。袋から次々とプレゼントが出てきて、全部ツリーの下に置きました。たちまち大きなプレゼントの山ができました。
お母さんが代表して、みんなにプレゼントを配ります。自分の名前を呼ばれるたびに、わくわくします。包みを開くたびに、歓声の声が上がります。
私はマリメッコのソックスとショルダーバック、オリーブ石鹸とボディーローション、蜜蝋の蝋燭、大きな箱入りのチョコレートを頂きました。
フィンランドのクリスマスは外は氷点下で震えるくらい寒いけれど、人々の心はとても温かです。
25日のクリスマスの朝食は特別なものを食べます。リーシプッロ(お米のポリッジ。牛乳で炊いたおかゆのようなものです。それにお砂糖、シナモンを振りかけます)。牛乳で炊いた甘いご飯なんて、絶対に美味しくないと思っていましたが、なかなかいけます。このポリッジには一粒だけアーモンドが入っています。そのアーモンドが自分のポリッジのお皿の中に入っていたら、その人はラッキーな人。自分の望みが実現する良い前兆です。そのラッキーなアーモンドはアンナ=カーリナのところに巡ってきました。アンナ=カーリナおめでとう!
明日、26日はマッティのご両親が住むポリの町へ出発します。
荷造りを終えた私のバックにはたくさんのクリスマスプレゼントと温かな思い出でいっぱいになりました。