今日は オランダで精神医療に取り組んでいらっしゃる田中医師の話を聞きにいきました。
田中先生はFACTという多職種からなるチームで患者さんの所へ出向き、地域での生活をサポートする治療システムに取り組む一方で、アントロポゾフィー医学を基盤としたリベグッド病院でも働いています。
ここの理念は医師と患者という関係ではなく、患者も医療者も共にコミュミティーを構成する仲間という関係です。
診断名から患者さんと係わるのではなく、その人全体として関係を築きます。
ですから患者さんに、あなたはこのコミュニティーのために何ができますか?と尋ねるそうです。
このコミニティーでは、農作業、木工仕事、養蜂が治療として行われています。そこで収穫された作物や木工品は病院内の店舗で販売されています。
今日の講演会の時間に田中先生がこの病院の紹介ビデオを見せてくれましたが、このビデオを作製したのも、ここの患者さんでした。
こうして患者さんに意志力(ウィルパワー)を発揮してもらうと、病気に自ら向き合うことになり、病を抱えながらも社会生活をおくれるようなったり、仕事に復帰できるようになるそうです。
患者さんたちにこのコミュニティーの事をどう思いますか?と尋ねると、ほっとする。温かい感じがする。自分が歓迎されていると感じると話すそうです。
田中先生はコミュニティーでの午前9時から始まる朝の集いには、必ず出席するようにしているそうです。
コミュニティーを構成している仲間が一同に集う事、ここでコミュニティーの存在を強く感じることができるそうです。
私も療法士として研修をした治療教育施設や共同体での朝の集いを思いだしました。
20分ほどの短い時間ですが、全員が輪になって、詩を唱え、歌を歌って、その日の連絡事項を伝え合います。
毎朝、厳かな気分になり、このコミュニティーの一員でいるという誇りもありました。そして胸に灯った温かさを伴って、各自がそれぞれの仕事に向かっていきます。
私も療法や歌のレッスンをするときには、必ずここで感じた温かさを胸に秘めて、患者さんや生徒さんと過ごすことにしています。