ご飯を食べているときや会話をしている時には、あまり自分の呼吸のことには意識をしていないと思います。
しかし、歌を歌っているときは、どうでしょうか?
ここまで一息で歌いたいのに息が足りない、と不安になって、思いっきり空気を吸ってみたりという経験はありませんか?
楽譜には丁寧に、ここで息を吸うという印が書き込まれているものもあるように、とくに歌では呼吸がものすごく意識されるのではないでしょうか。
多くの歌唱指導法では腹式呼吸が大切と言われています。
しかし、アンカヴァーリング・ザ・ヴォイス歌唱法では、歌っている間、まったく呼吸を意識することなく、歌い継いでいくのが理想としています。
歌い手はいつ息を吸って、いつ吐いているのか、聞いている人からは全くわからずに歌います。
アンカヴァーリング・ザ・ヴォイス歌唱法の生みの親、ヴェルベックは歌い手が自分の呼吸を意識的にコントロールして歌った場合、音楽の流れが分断されてしまし、流れだそうとしている音楽の流れを堰き止めてしまうと考えました。
そして、できるだけ呼吸がスムーズに行われるように、「呼吸を忘れるためのエクササイズ」を数多く考えました。
従来の歌い方からは、真逆の歌い方かもしれませんが、これはアンカヴァーリング・ザ・ヴォイス歌唱法の大きな特徴だと思います。
顎とお腹を瞬時にゆるめることができれば、空気はおのずと体の内部に入ってくるのです。