ご飯を食べている時や、会話を楽しんでいる時は自分の呼吸に意識なんてしていないのに、歌っている時はとたんに意識してしまいませんか?
フレーズの最後まで一息に歌いたかったのに、足りない~という経験があると思います。
そして、それを解消するために、歌い始める時に、思いっきり息を吸ってから歌い始めませんか?
体の中に空気を貯めておけば、心配なく歌えるから。でも、これはもっともやってはいけない事なのです。
息をたくさん吸い込まなければと意識するだけで、体に余分な力が入ってしまうのです。そして、たまった息をコントロールすることも、お腹などの余分な力を使います。
そうすると、横隔膜の動きもスムーズではなくなってしまいます。
それに、もう一つ。
せっかく美しい響きが流れているのに、呼吸をする度に自分の肉体に意識を向けるのですから、それはみずから音楽の流れを断ち切っているようなものです。
では、音楽の流れに身をまかせて、自分の呼吸をまったく意識しないで歌い継いでいく方法はどんなものなのでしょうか?
それは、顎の筋肉と、お腹の筋肉を緩めることです。
顎と、お腹は繋がっていて、顎が緩めば、お腹も連動して緩みます。
お腹を緩ませようと思うと、余計にお腹を突き出したりしてしまって、かえって力んでしまう人は、顎を緩めることをまずやってみてください。
できれば、鏡をみながらやってみてください。自分の顎がどのくらい落ちていますか?
人差し指と中指を縦に重ねたものが、口の中に入るくらいが理想です。
また、自分の顎が緩む感じを体感するには、口を閉じたまま、顎を天井の方へ上げて、視線は天井を見ます。
そこから、ぱかっと、下顎を解放してみましょう。
どの位口が開きましたか? 顔が真っ直ぐ向いている状態から顎を緩ませた時より顎の開き方が大きかった方は、顎が固くなっています。
普通に歌うポジションでもそのくらいは顎が開くように柔軟になっていれば、呼吸も楽にできるようになります。
顎を緩めるエクササイズは必ず、レッスンではやっているのですが、皆さん、顎とお腹をちゃんと緩めることができるようになると、ただ緩めただけで、自分から空気を吸いに行かなくても、歌うのに必要な空気はしぜんと入ってくることに気が付かれます。
そうすると、歌っている人は自分でもいつ空気が入ってきて、いつ空気が出ていったのかも気が付かないまま、しぜんに呼吸が循環して歌えるようになります。
これをアンカヴァーリング・ザ・ヴォイスでは、「芸術的な呼吸」と呼んでいます。
普段から緊張が強い人は、自分では緩めているつもりでも、緩んでいないことも多いです。
自分の下顎が力が抜けた状態で、どのくらい開くか確認してみてくださいね。
でも、やはりレッスンを受けてみたいなと思われる方は、どうぞ、ご連絡ください。
呼吸を忘れるためのエクササイズはたくさんのバリエーションがありますので、あなたにぴったりなエクササイズをご提供いたします。