シンギングセラピスト(歌唱療法士)平井久仁子です。
2019年2月17日に、
仙台で歌のワークショップを行いました。
午前の部と午後の部がありましたが、
両方の部に参加して頂いた方も多く、
初めてお会いする方も、
久しぶりにお会いする方もいらして、
楽しい会になりました。
震災から8年目を迎えるにあたって、
身体をリラックスさせて整えるという目的と、
このワークショップの時だけではなくて、
参加者が普段生活を共にしている
家族や職場の人達とも行えるようなエクササイズを
持ち帰ってもらうという目的もありました。
自分の大切な人達と歌う事ができるなんて
最高に幸せなことですよね。
なので、二人組になってもらって、
交互にお互いの腕や背中、
脚をマッサージするように優しいタッチで
触ってもらいながら歌うこともやりました。
このエクササイズは皆さんに好評でした。
誰もが、きっとご家族にも
やってあげたいと思われたと思います。
とにかく、気持ちが良いのです。
そして、緩みます。
人の手の温かさを感じながら、
声の響きも耳元で聞こえて、
身体に共鳴します。
このエクササイズをやった後に、
二人組で感想を言い合ってもらって、
それをみんなでシェアーするのですが、
私はその皆さんが感じたことを
お聞きするのが至福の時間なんです。
感想を言い合っている皆さんの姿を
拝見するのも好きです。
皆さんのお顔が高揚感と共に、輝いているから。
味わった体感の感動が伝わってくるのです。
今回もたくさんお聞きすることができて、
とても楽しく、参考になりました。
私はフィンランドで歌の基礎を学び、
ドイツで歌唱療法を学んでいるので、
エクササイズは基本、ドイツ言語と
スカンジナビア言語で構成されています。
ですから、日本で日本語を話して
生活している人たちが、
どのように感じているのかが、
とても知りたいのです。
さてさて、ワークショップ前半は、
声を出しながら、身体と心を緩めて、
整えていき、余分な力を抜いて、
歌える身体を準備していきました。
そして、後半は曲を歌う時間です。
最後に皆さんから感想を頂いたのですが、
「歌っていた時に、その部屋がまるで教会で
歌っているみたいな響きに満たされていた」とか、
「歌が終わっている今でも、
いつまでも響きが鳴っているみたい」
という感想を頂きました。
2声の合唱曲では、
最初は同じパートを歌う人同士が、
かたまって座ってもらい、慣れてきたら、
同じパートの人達を離して、
上のパートの人、下のパートの人という風に、
交互に座ってもらって歌いました。
そうすると、自分の両隣の人からは
違うパートが聞こえてくるのです。
同じパートの音は右も左も一人飛び越えた所から
聞こえてくることになります。
それから、部屋の中を一人、一人好き勝手に
歩き回って歌ってもらうこともしました。
歩き回るなかで、同じパートの人とすれ違ったり、
違うパートの人とすれ違いざまに、
はもったりといったことが偶然おこります。
その時、同じパートの人に聞こえるようにしようと
自分の声を張り上げ歌ってしまうと、
結果的に自分の耳には、
自分の声だけ聞こえて、
他の人の声が聞こえなくなります。
ですから、ここで大事な事は、
大声で歌わない事。
相手の声も拾える声で歌う事です。
考えてもみてください。
全員が自分の声だけを聞いて
歌っている人たちの合唱なんて、
仲間として一緒に歌いたくないし、
聞きたくもないですよね。
自分の声も聞いて、
相手の声にも耳を傾けて聞く、
そうやって歌うと、
全員の耳の感度がいつにも増して良くなります。
自分の耳が象の耳のように
大きくなったように感じます。
そして、どんな繊細な音も
聞き逃さないような耳になります。
その意識が全体の響きに
影響を及ぼすことになります。
「自分の声を聞いているのも心地が良かったですし、
一緒に歌っている皆の声も同時に聞こえてきて、
気持ちが良かったです。」
私の耳には、皆さんの歌声が、
美しくあらねばとか、
うまくあらねばという独りよがりな声ではなくて、
もうそういう所からも自由になって、
取り繕っていない、
その人の真の姿がそのまま表れている声に聞こえました。
自分が歌っている時に、
自分がどういう意識で歌っているか、
今度歌うときに注意してみてください。
いつもうまくあろう、
美しくあろうとする事ばかりに拘っている人は、
自分の真の声を置いてきぼりにしているかもしれませんよ。
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