2023年1月19日、26日、2月17日、24日と4回に渡って、
医師、臨床心理士、ボディワーカーの方々に
歌唱療法講座を行いました。
今回ご依頼頂いたテーマが、
安心感を持って、しっかりと自分の身体を感じて
ここに居ること、そのような感覚を育むエクササイズをご紹介しました。
ご参加の方達は、ソマティック・エクスペリエンシングの心理士さんや、
ポリヴェーカル理論に精通した方々だったので、
日頃からご自身の心と身体を繊細に感じることができる人達であり、
ご提供したエクササイズを行った後に頂くコメントが
打てば響く楽器の様で、ひとつ、ひとつの母音と子音の質や特性を見事に掴んでいらっしゃいました。
そして、
この子音を歌うと胸郭が広がるとか、仙骨が動くなど、
私が今まで全く気が付いていないことをコメントで頂く事があって、
それは嬉しい驚きであると共に、私にとっての大きな実りとなりました。
アントロポゾフィーの歌唱療法では、
ひとつ、ひとつの母音、
それから子音の音の質や作用を療法に用います。
例えば、母音のA E I O Uを見てみても、
それぞれ違った質と作用があります。
Aの語音は口腔内の一番奥で発音されます。
舌の位置も一番下にあります。
Eの語音はAより前に出てきます。
舌のAより少し上に上がります。
Iの語音はさらに前に出て来て、口腔内の真ん中で鳴ります。
舌の真ん中が更に上がります。
Oの語音は舌は存在感を潜めて、唇の形で出します。
ですから、口腔内の真ん中より前で歯の辺りで鳴ります。
Uの語音は唇がOよりもっとすぼめられて鳴ります。
口腔の出口の先のような所で鳴る音です。
こうやって、各母音は口腔内の後ろから始まって、
ひとつ、ひとつ位置を変えながら前方に進んでいきます。
このことから分かるように、
AEは外界に開かれた音であり、
OUは内界に向かう音です。
そして、
Iがその中間に位置して、
外界と内界を反転させています。
子音も
地のエレメントの質を持つ子音、
水のエレメントの質を持つ子音、
空気エレメントの質を持つ子音、
熱エレメントの質を持つ子音など、
ひとつ、ひとつの子音の語音の質と作用が違います。
喘息、難聴、偏頭痛、高血圧、生理不順、精神疾患その他、
どの子音と母音を用いて歌って頂くかは
ヴェルベックが提示しているものがあります。
そして、
ヴェルベックの死後は歌唱療法を引き継いだ人達によって
新たなレシピが考え出されてきました。
時代によって新たな症状も出現していますから。
私も日々、この母音と子音を組み合わせたら、
どんな作用があるかなと研究をしています。
ですから、
この4回の講座で頂いた皆さんからのフィードバックが
宝物のようになりました。
アントロポゾフィー
歌唱療法士 平井久仁子