だいぶ朝晩は涼しくなってきて、秋の気配になってきました。
虫の音が響いています。
9月の第一週目の週末は、仙台でトーマス・ペドローリさんの直感コミュニケーションのワークショップに参加して、第二週目の週末はライアー響会の大会に参加したのですが、この大会の基調講演はトーマスさんでした。なので、私は彼に2週に渡ってお会いすることになりました。
ライアー響会の大会での彼の話もとても感銘を受けました。
彼の指揮のもと、彼が作曲した曲を100台のライアーが奏でたのですが、演奏が終わった後に、深い静寂が訪れて、私の耳は拡がり、研ぎ澄まされ、音の世界に吸い込まれて行きました。
演奏の後にあのような静寂を聞いたことは、初めてのことだと思います。静寂の中に、耳を澄ませば聞こえてくる響きがあるということを初めて体験しました。
トーマスさんは、指揮をするときに、奏者に色々な注文を出します。
ライアーは弦楽器で、指で弦をはじいて音を出します。チェロやバイオリンのように弓で弾く楽器ではありません。ですから、4拍分の音を出す時もバイオリンのように、弓で4拍分伸ばすことができません。
「指で弦をはじいた後に、奏者は自分の出した音に4拍分耳を傾けて聞き続けること、そうしないと、その音は消えてしまって、現れ続けませんよ」と、トーマスさんは注文を出しました。
そうして、アルトライアーの人達が、その注文に応えると、響きが変わって、ちゃんと最後まで耳に残る4拍になりました。
歌の場合も、そうなのです。自分の声を空間に放ってあげて、その放った声の行く先を耳で聞き届けてあげる。
そこまで聞いてあげると、解き放たれた声の響きが変わります。
こんなことを私はレッスンの時にも言っているので、みなさん大抵はびっくりされます。だいたいは、自分の声が鳴っている時だけ聞いているのが普通の考えだと思います。
でも、声の覆いを取り外す発声法だと、まだ自分の声が出始める前を聞くということ、そして、声の終わった後を聞くということを何回も練習します。
「どうやってなにも鳴っていない所から聞けばいいんですか?」と、困った顔をされて聞き返されることがあります。
それももっともなことだなーと思います。
でも、ああでもない、こうでもないと、しばし悪戦苦闘して頂くと、出てくる声が変わってきて、困った顔が段々とほどけていきますので、ご安心あれ!
もうそうなったら、声は自分一人の力だけで頑張って出しているものではないということがしみじみわかります。
どうぞ、声の出し始めと、出した後に、耳を開いて聞いてみてください。
最初は自分の耳に違いが聞こえない場合があるかもしれません。側に人がいたら、その人に聞いてもらって、どんなふうに違ったか感想を聞かせてもらうと良いと思います。
『歌を通して心と体を整える声の専門家』
シンギングセラピスト(歌唱療法士)平井久仁子
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