皆様、いかがお過ごしでいらっしゃいますか。
今日は、イタリアのフィレンツェに住んでいる友人、
順子グレイさんからの便りをお届けします。
一昨年、ご主人のジェームズさんと、順子さんは
アトリエ・カンテレで「中世の曲を歌う」講座を
開催したので、ご存知の方もいらっしゃると思います。
一か月以上、
都市封鎖が行われているフィレンツェが
現在どのような状況なのか、
順子さんが伝えてくれました。
2回に分けて、お届けします。
***
初めまして!
私は平井さんと同じく、
フィンランド歌の学校で歌の勉強をしました。
そのあと縁があって結婚をし、
現在はイタリアのフィレンツェに、
夫と住んでいます。
コロナウイルス拡散による被害と不安は、
イタリアでも日本でも同じこと…
一人でも多くの方がこの被害にあわれないことと、
感染してしまい、治療を受けていらっしゃる方は、
一日も早く回復されることを願ってやみません…
日本からちょっと離れたイタリアでは、
どんな状況になっているか、
お伝えしたいと思います。
イタリアでのコロナウイルスの拡散は,
わたしの記憶だと、2月の中旬、
後半ぐらいから北イタリア地方に
圧倒的に広がりました…。
ミラノのような大都市で、都市封鎖になったころ、
フィレンツェにも心配の波が押し寄せてきました…。
3月に入って、ますますその心配と懸念は広がり、
じわじわと日常生活にも影響が表れてきました。
ヨーロッパでは、一般的に
今まで花粉のとび散る春や秋でもマスクを着用…
という習慣がありませんでした。
日本でマスク不足が深刻だった同じような時期に、
マスクを着用していたのはほんの数人ぐらいでしたし、
薬屋さんやスーパーでも売っているのを
見たことがありませんでした…。
それが、コロナウイルスの拡散…とともに、
マスク着用の意識も、同じぐらいの速さで高まり
(…と私にはそう感じましたが!)
困ったことに今度はほとんどの薬屋さんで、
「マスク売り切れ!」のはり紙を見ることになりました…。
そして街ではお店の、閉店時間の繰り上げ、
人と人との間を少なくとも1メールあける…
という新たな法律もでき、
(この規定を守らないと店の責任者は、
罰則が科せられる…ということで、)
すごい速さで、日常生活に浸透していきました…。
このような一見理不尽な法律が
スムーズに取り入れられていったのは、
やはり北イタリアでの現状を、
イタリア全土の人が恐れとして
感じていたからだと思われます…。
各新聞は毎日100人単位で特に北イタリアでは、
患者さんの増加と亡くなられる方の人数の
急上昇の報道が続いていた時です。
フィレンツェでは、その頃までには、
全ての美術館も閉じられ、
劇場も閉鎖、観光客は全く消え去りました…。
そして3月12日に、フィレンツェは、
スーパーと一部の食料品を売る小売の商店、
薬屋以外すべての商業活動はストップをし、
街のお店はすべて固くシャッターを下ろしました…。
住民には外出禁止令が出て、
俗にいう都市封鎖がなされました。
基本的に電車に乗って街の外へ
(または外から)の移動はできず、
それは車での移動も同じです。
医者への外来など、緊急時の移動には、
特別な用紙への記入と提示が必要となります。
フィレンツェの空港も閉じられました。
政府から、外出の際には、
理由と身分の証明を記入した用紙を
持ち歩くことが義務づけられ、
万が一提示を要求された場合には
速やかな提示となります。
町は、常に警察の車が巡回しています…。
このように書くと、
日本で現在行われている外出自粛とは
ずいぶん環境が違うように思えるでしょうが、
とりあえず警察が常に巡回しているとはいえ、
今まで、何か不当に抑制されるような状況は
見たことも聞いたこともありません…。
私は一度、誰もいなくなってしまった中心街を
一人で歩いていたら、
(新聞を売るスタンドを探しに
久し振りに中心街まで足を運びました。
都市封鎖以前の街でしたら
多くの歴史的建造物の密集するこの場所は、
観光客で連日お祭りのようなにぎわいなのですが、
街は死んだようにひっそりとしていました…。)
ばったりと警察の巡回の車と鉢合わせしてしまい、
予想通りとめられて、質問されましたが、
会話の最後にとても丁寧に、
「自宅におもどりください。」
と言われた覚えがあります…。
さて「外出禁止」とはいえ買い物はできます…が、
スーパーのレジの前には、
白線で1メーターごとのラインが敷れたり、
お店の中に入れる人数制限もあるので、
お店の外には、少なくとも1メートルの
感覚をあけて人々が並ぶことになり、
コロナウイルス拡散防止の対策は
どんどん強化されていきました…。
スーパーによっては、入場の際に、
店はあらかじめ準備している消毒液で
手の洗浄と使い捨ての手袋着用の要請、
場所によっては、体温チェックをして
熱のないことを確かめるスーパーもあります。
私の個人的な驚きは、イタリアでは、人々が、
とても速やかに数々の不便な法律や規制を
受け入れているということです。
普段は、明るく社交的で、
しかも自己主張のとても強い国民性を持つ人たちが、
この国難に対して協力して
しのいでいる姿を強く感じます。
協力…という点に関しては、
最近では、スーパーの出口に
大きなダンボール箱が置いてあり、
コロナウイルス拡散拡大により
仕事に制限を受け、
経済困難に遭遇している人達や
家庭に少しでも助けになるように…と、
各々が買ったもので、食料(一般雑貨でも…)など
「寄付できる方は、この箱にお入れください。」
のサインが目につくようになりました。
道を歩いていても、
通りの端に小さな籠が置いてあって、
本や、食料等が入っていて
「ご自由にお持ちください。」
と書かれたサインが添えてあるのを見受けます。
そんな目に見えない人々の温かい志もうかがえます。
********
次回に続く
『歌を通して心と体を整える声の専門家』
シンギングセラピスト(歌唱療法士)平井久仁子
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