シンギングセラピスト(歌唱療法士)平井久仁子です。
前回、大きな声で話してと言われて、
「プッレッシャーを感じてしまう小さな声のあなたへ」
という記事を書いたのですが、
もしかしたら、
それは話し手側だけの問題ではなくて、
聞き手側の耳が大きな音を聞くことに慣れてしまって、
繊細な音を聞くことができない耳になっている
可能性もあるのかもしれません。
今回は、
大きな音を絶えず聞き続けて
鈍感になっている耳のリセット方法と
リフレッシュ方法についてお伝えします。
時代と共に高くなる音のピッチ
現代の世の中は、
様々な音に溢れていて、
なかなか静かな場所を見つけるのも大変ですね。
街中を歩いていても、
車が行きかう音や工事などの音、
デパートやスーパーマーケットなどでは絶えまなく、
バックグランドミュージックが流れています。
駅や電車の車内でも、
アナウンスや発車音が
引っ切り無しに繰り返されていて、
人々はその喧騒に負けまいと大きな声で話しています。
20人も入れば一杯になってしまうような
小さな部屋でさえ、
マイクを使って話し合いが行われます。
本来ならば、
マイクなんて使わなくても十分に声が通る空間でも、
必然的にマイクを使わなければという意識になっているんですね。
音楽の現場でも、
音の高さ(ピッチ)は年々上がってきています。
現在は国際標準ピッチA=440Hz(ヘルツ)です。
(*Aはラの音です。
*Hzとは、音波の単位で1秒間に振動する回数です。)
バロック時代のピッチは415Hzだっとも言われていて、
時代が現代になるにつれて、
ピッチも高くなってきました。
オーケストラによっては、
440Hzより高く調律するところもあります。
ピッチが高くなると、
明るく、華やかさが増します。
演奏する空間が大きくなるにつれて、
それに見合った音量が必要になったのではないでしょうか。
時代と共に音量が大きくなっていき、
私たちは当たり前のように、
その音を聞いて生活をしています。
すると、
私たちの耳もそういった
大きな音ばかり聞く耳になってしまって、
繊細な音を拾う耳ではなくなってしまいます。
少しでも聞こえなければ、
物足りなくて、
もっと大きな音を要求してしまう耳になってしまうのです。
だから、
「あなたの声は小さいから聞こえない。
もっと大きな声で話して。」と言われた場合、
ひょっとしたら、
相手が拾えない耳の持ち主という可能性もあります。
がさつな音が絶え間なしに入ってくる耳は、
がさつな音しか聞き取ることができない耳になってしまうのです。
もしかしたら、
そんな耳の持ち主が聞き手だったせいで、
本当は抱えこまなくてもよかったことなのに、
辛い思いをしている方がいらっしゃるかもしません。
そして、
あなたから歌う喜びを奪ってしまったかもしれません。
マイクを使って歌うコツ
それから、
「マイクを使っても聞こえないと言われてしまう」
と悩んでいる方の場合、
マイクを使って歌う時も、
話す時もコツがあるのです。
自分の声をマイクに集めなければ、
マイクが拾ってくれないので、
聞こえないと言われてしまうのです。
これは裏を返せば、
あなたの声には、
たくさんの響きがあるという事です。
響きがある声は前の方向だけに
響くだけではありません。
頭の上にも、
後ろにも、左右にも、
全方向に響いています。
そういう声を持っている人は、
喉だけを使っている声ではありません。
だから、マイクを使う場合には、不利になります。
また、
普段マイクを使って歌ったり、
話したりしている人は、
マイクに声を集める事だけに集中してしまっていないか、
確認してみてください。
無意識的にでも、
声をマイクに集めることで、
響きが箱に収められているように
固くなっているかもしれません。
本来であれば、
声は自分の背後も含む全方位に響き出ています。
話すときも、
歌う時も聴衆が自分の前に居るので、
どうしても前方向だけに声を向けて歌いがちですが、
他の空間も意識して歌ってみてください。
耳のリセット&リフレッシュの方法
自然の音を聞く
そして、
耳をリセット&リフレッシュする方法は、
鳥のさえずりや、虫の音、波の音、川のせせらぎ、
木の葉をゆらす風の音など、
静かな場所で、
自然の音を聞く時間を日々の生活の中で、
できるだけ取り入れてみてください。
歌のエクササイズ
歌のエクササイズとしては、
NG音で歌う事。
その場合、
声のボリュームをもっとも小さくして歌います。
ハミングのように優しく。
自分にだけしか聞こえないような小さな響きで。
小さな響きで歌おうとすると、
声がかすれてしまったり、
喉が閉まって歌いにくい方がいるかもしれません。
それは、喉や舌、口腔内の筋肉が固い証拠です。
ある程度のボリュームのある声で歌っていると、
見過ごされてしまうのです。
まとめ
自分の内側を静けさで満たせば、満
たすほど、繊細な音を聞き逃がすことがなくなります。
そして、そういった耳の在り方は、
他者の声をありのままに聴くという事にも繋がっていきます。
それによって、
コミュニケーションも変化してくるでしょう。
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