先日の20日は、去年の春から1年をかけて
「Uncovering the Voice 声にかけられた覆いを取り払う歌の学校」の
コース終了後のフォローアップ講座を行っていました。
普段はオンラインでクラスを行っていたので、
アトリエで対面して一緒に歌うのは初めてでした。
1年をかけて丁寧に行ってきた事は、自分の声を客観的に聴くこと。
そして、実際の聞こえる声になる前に、声のもととも呼ばれる原響、
あるいは、原声に耳を開いて、そこを聴きとることです。
オンラインのクラスでも、個人練習でも、
このことを参加者の皆さんは真摯に取り組んできました。
だから、初めてみんなの声を合わせて歌った時に、
一人一人の声はちゃんとそこにあるけれども、
みんなとしての共通の響きというものも生まれていました。
フォローアップの翌朝、我が家の珈琲の木に花芽が付きました。
この木は7年前に10センチにも満たない苗を珈琲博物館の売店で買い、
その後毎年ひと回り大きな鉢に植え替えて育ててきました。
暖かい季節には外へ出し、冬になると室内に入れて大切に育ててきました。
でもその過程では、虫が発生したり、葉っぱが枯れてしまったりして、何回か危機もありました。
でも、やっと7年目にして初めての花を咲かせようとしています。
私はこの珈琲の花が付いているのを見た時、
1年コースを終了した皆さんのことを重ねていました。
フィンランドの歌の学校で学んでいた時、恩師から、
「これが本来の自分の声だと思えるようになるまで7年位はかかる。
それも現れ出たものは声の萌芽みたいなもので、まだまだ育ち続ける」と言われた事があります。
その時の私は1年生で、まだ学び始めたばかり。
そして、周りの学生は私より年下で、
私はもうすぐ40歳になるところでした。
だから、1日も早く習得したいと、すごく焦っていました。
そんな私に先生がかけてくれた言葉です。
それ以後は、焦る気持ちが出てくると
私自身をなだめて、の繰り返しでした。
そして、じっと待つことを
自分自身から教わりました。
待つことは強さ、
そして、
自己を信頼することにもつながりました。
私は卒業してから14年になりますが、
今ではその恩師の言葉はその通りだなと思います。
毎年声の響きが変化していきます。
珈琲の花は素晴らしい芳香を放つそうです。
皆さんの声もあなたにしかない響きが放たれますように!
そして、辛抱強く、好奇心を持って、
育てていってくださると嬉しいと思います。
アントロポゾフィー歌唱療法士 平井久仁子