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自分が感じたことを人に伝えるのは勇気が必要なこともありますよね。
批判されるかもしれない、
否定されるかもしれない、
だったら黙っていた方がいいかも。
声にならないまま、胸の奥にしまいこんできた経験が誰にでもあると思います。
私も自分の感じたことを言えないままにしていたことがありました。その時期ちょうど喘息が酷くなっていました。
行き場をうしなって胸の奥にため込まれていた声をせめて、咳として外に吐き出そうとしているかのようでした。
私を象徴するようなもの、パスポート、免許証、保険証、財布、携帯電話をひとつひとつ吐き出す。そんな夢も見ていました。
それらは、私を証明してくれるものですが、私の本質を表している物ではありません。
だから、「そんなものは吐き出していいのよ」と、まことの私に言われているみたいだなと思いました。
その後、私は声の学びをするようになって、気が付いたことがあります。
そして、同じように自分の言葉をしまっている人に伝えたいことがあります。
感じたことは「正しさ」ではなく、「あなたの真実」。
誰かに証明する必要もなく、同意を求める必要もない。
それはあなたにしか感じられない景色であり、自分の声でしか伝えられない響きであるということ。
声にすることで、それが「在る」ことが世界に刻まれていく。ただ感じたことをそっと声に乗せてみる。響きとしてこの世界に聞かせてあげる。
小さな響きでも、世界はそれを受け取って、呼吸をかえはじめます。
風が地球を渡っていくように。
誰かの静かな呼吸が風を起こしているかもしれないように。あなたの声が目に見えない場所で、何かを動かすかもしれません。
説得力のある声でなくても、うまく話せる声でなくてもいい。
それがあなたの真実であれば、そっと耳を傾けてくれる人がきっといます。
あなたが感じたことに目を向けてあげてください。そして、まことの心の声をそっと放ってみてください。その響きのいちばん最初の聴き手になってあげてください。
歌唱療法士 平井久仁子