アトリエ・カンテレでのセッションのご感想をインタビュー記事としてご紹介させて頂きます。インタビュー、および文章はライターの小澤仁美さんにお願いしました。
山森由香様
「School of Uncovering the Voice覆いが取り払われた声の学校」1期生で「本来の私に還るボイスワーク」を受講中。シュタイナー教育を基に、子どもたちへ水彩画を教える活動をしている。
アトリエカンテレとの出会い、声の探求を始めようと思われたきっかけを教えてください。
「2年くらい前にfacebookの誰かの投稿で『Uncovering the Voice』という言葉を知りました。なんだかピンときて、これを体験できるところはないかと検索したところ、平井先生のWEBサイトに辿り着きました。
とりあえずメールしてみたところ、たまたま平井先生の旦那さんの故郷・石川県と我が家が近いということで、平井先生がこちらに来てくださるタイミングで対面レッスンを受けたのがUncovering the Voiceとの出会いです。
最初は先生のおっしゃる『耳をひらくように』という言葉がよくわからなかったのですが、今学んでいることはきっと自分にとって真実なのだろうという気がして、声の学びをスタートしていきました」
「School of Uncovering the Voice覆いが取り払われた声の学校」の1年間の学びで、どんな変化がありましたか。
「どんな自分でもいいじゃない、という自由な感覚が強くなった気がします。元々声がのびのびと出る感じがなくて、歌は好きだけど自分らしく歌えていないような感覚もあり、今振り返ると、本来の私の声にいろんな覆いがかぶさっていたのだなと思います」
山森さんの「本来の声を覆うもの」とは何だったのでしょうか。
「生きてきた経験、でしょうか。誰かに覆わされたというより、生きるために自分で自分に、無意識に負わせてきたもののような気がします。ずっと息苦しい感じ・なんとなく辛い感覚があったのですが、きっと私の命はそれを脱ぐ体験をしたかったのだなとも、今は思います」
山森さんの声を覆うものは、どうやって外れていったのでしょうか。
「平井先生はよく声の学びを『自転車に乗る感じ』に例えられるのですが、まさにそれに近かったです。自転車は乗れるようになるまでは時間が掛かりますが、一度乗れるようになったらもう乗り方は忘れません。
声の響きについても、まず意識して練習して、それを繰り返しやっていく。そのプロセスは地道で長いのですが、少しずつ声に覆いが取り払われた時間が増えていって、徐々に通常運転になっていくようでした。
声に覆いが掛かってしまうことは今もありますが、声を通した自分とのつながり方を教えてもらったので、その都度、自分とつながり直しに行く感じです。
自転車に乗ればいつでも行きたいところに行けるように、自分の本当の声と会いたいと思ったらいつでも会えるということを思い出させてもらった、そんな感じですね」
印象に残っている平井先生の言葉や、今も覚えているレッスンの場面はありますか?
「平井先生がおっしゃっていた『人前で話すときは空間を気で満たすように、響きで満たすように』という言葉を、子どもたちと接するときはいつも思い出すようにしています。
自分のこの口からではなく、空間の向こうの方に口があって、そこから声が出るように。意識の使い方と連動させると声は変わるので、より響いている気がします。
また講座で皆さんと声を出していると、私は視覚の感覚が強いようで、よく音から情景が見えるということがありました。
あるときレッスンで歌を歌うワークがあったのですが、歌っているとき暗くて深い洞窟の中に光がスーッと差し込むビジョンが見えたんです。
以前は歌詞の意味がわからないとあまり気持ちを乗せて歌えないところがあったのですが、大事なものを守っているような感覚、暗い場所でもいつか光が差し込むような感覚がありました。
歌に込められた想いを、言葉を超えてキャッチできたような感覚があり、とても不思議な体験でした。今度は英語の歌やよくわからないと思っていた音楽も歌ってみたいです」
声の学びを通して、これから先にやってみたいことや夢はありますか?
「ぼんやりとなんですが、みんなが自然と暮らしの中で歌ったりする世界になったらいいなと思っています。昔の人たちって子どもに子守唄を歌ったり、台所仕事をしながら歌ったり、ちょっとした集まりで歌ったり、日常に歌があってそれが人の生きる力だったように思うんです。
今は満員電車で押し潰されたり、会社に残って深夜まで残業したり、みんながネクタイをキチキチに締めあげて無表情で働くのが当たり前というか、生活の喜びみたいなものから遠くなってしまってきているように感じてます。
いきなりそういう社会を変えるのはガラッと難しいと思いますが、まずは私から、覆いが外れた声でいることが大事なのかな、と。そうやってまず私自身が自由に、自分らしく生きていることがこの世界の役に立つのかなと思っています」
最後に、山森さんにとって平井先生はどんな存在ですか?
「カッコ良いですよね。30代後半で単身留学されて。留学するまでもきっと旦那さんや周りの方と対話し続けられたでしょうし、いろいろなことがあっても最後まで学び続けられて。あとは突然、田舎に住んでいる私からメールが来たというのに、会ってくださったり、そういうこと全てかっこいいな!と思います。
声にコンプレックスがある人の気持ちがわかる先生だからこそ、声に何かを抱えている人にも深く響くレッスンができると思うので、全幅の信頼を置いています。
あとUncovering the Voiceの教えを軸に対話会だったり新しい活動を広げていらっしゃる様子も、なんだかどんどん花ひらいている感じがして、そういったあり方も人生の先輩として、ついていきたいなと思っています。平井先生、憧れですね」
人が本来持っているそのままの姿を愛し、子どもたちの魂の成長に寄り添う人。山森さんのいる空間はいつどんな時も、きっとやさしい音と光が響いているのだろう。声を覆うものからひらりと自由になるように、軽やかに自転車で風の中を走るように生きる彼女の在り方は、この世界全体が本来の自由な姿に還る一助になっている。
平井久仁子から山森由香さんとのこと
山森由香さんとの出会いは2019年に彼女が私宛に送ってくれたメールから始まりました。まだその頃はオンラインを導入していなかったので、セッションは対面に限られていました。東京から遠く離れた場所に住んでいる由香さんから関西、又は中京で講座を開催する予定があったら教えて欲しいという内容でした。居住地をお聞きすると、なんと夫の実家からそんなに遠くない所でした。それでお盆に帰省した時にお会いしてレッスンを行うことになりました。
彼女が起こしてくれた行動によって、私たちは出会えたのですから、彼女がメールを下さったことに私はとても感謝をしています。
由香さんにインタビュー記事に載せる写真をお願いすると、彼女が軽やかに飛んでいる写真が送られてきました。この写真は由香さんらしさが現れていると思います。しっかりと大地に立って、大地を信頼しているからこそ、このように軽やかに天に向かって飛び立てるのだなと思います。
これからも由香さんは自分の深淵な場所に宿っているものに光を差し込み続けて、それが大きな川のうねりとなってこの世界を潤していかれる人だと思います。
2024年1月から第3期が開講します。
School of Uncovering the Voice 覆いが取り払われた声の学校
アントロポゾフィー歌唱療法士 平井久仁子