
今日は、少し個人的なお話をさせてください。
2025年11月12日。
世界各地、日本の太平洋側でもオーロラが観測されたという、
夜空が彩光に満ちた日に、母が旅立ちました。
母からはたくさんの愛情を受け取りましたが、
私たちの関係はいつも穏やかだったわけではありませんでした。
若いころの私は、母の保守的な価値観に強く反発し、
「私は私の道を歩く」と心に決めて進んできたように思います。
振り返ると、その反発の力こそが、
私を外の世界へと押し出してくれました。
多くの経験をし、遠くまで旅をし、
そして今の声の仕事へと続く道を進む
原動力になっていたのだと、今は感じています。
母が四年前に群馬へ移ってからは、
会いに行くたびに母の髪を切るようになりました。
離れて暮らす私にできる、ささやかな恩返しでした。
その時間は、若いころには想像できなかったほど、静かで優しいものでした。
母を見送ってまだ十日ほど。
母は、私にとって「命の根源」であり、
この地上にしっかりと根づかせてくれる
大地のような存在だったのだと、
母の肉体がなくなった今、感じています。
その大地を失ったような心もとない日々の中で、
母を思い出してふとした瞬間に涙があふれます。
けれど、その涙は弱さではなく、
私がもう一度立ち上がるための
“再生の水”なのだと思うようになりました。
失った悲しみで乾いた心の大地をそっと潤し、
次の“根”が育つための柔らかな土に変えてくれるもの。
涙を流すたびに、私の根は瑞々しく成長する――
そんな静かな恵みだと感じるのです。
理想の母でも、理想の娘でもなかったけれど――
それでも、私はまた、母の娘として生きたいと思います。
明日も良い日になりますように。
今日も最後までお読みくださり、
ありがとうございました。
アトリエ・カンテレ 平井久仁子
