
前回の記事では、
言葉が下界に落ちて物質的になったこと、
そして、言葉を構成する母音について主にお伝えしました。
まだお読みでない方や、もう一度読み返してみたい方は、こちらからどうぞ。
下界に落ちた言葉
今回は、その続きとして、
子音について書いてみたいと思います。
母音は空間を満たし、
私たちの内側にあるものを響きとして
外へと運んでくれます。
母音の特徴は、
響きがどこまでも流れ、
自由に広がっていくことができるのです。
では、
その響きに形を与えるものは何でしょう?
それが、子音です。
前回、私は少し子音を悪者のように
書いてしまったかもしれません。
けれど、
子音には子音の、大切な役目があります。
子音は、広がっていく母音をまとめ、
行き先を示し、言葉としての形を作っていきます。
響きに輪郭を与えてくれるのです。
たとえば、
息を吐きながら「は―」と声を出してみてください。
「は―」という音の中には、
子音の「 H 」と、母音の「A」があります。
まず、「H 」によって息の流れが生まれ、
その流れが「A」の響きへとつながっていきます。
「A」だけを響かせるのとは、
少し違う表情が生まれるのではないでしょうか。
「H 」が加わることで、音の始まりに変化が生まれ、
「A」の響きがひとつの方向を示されて口の外へ広がっていきます。
子音は、
母音を閉じ込めるためでも、
母音の自由を奪うためにあるのでもありません。
響きが響きとして、
より豊かに現れるために、
子音は、母音に形を与えているのです。
そして、もうひとつ、大切な役目があります。
子音には、
響きにピリッとしたスパイスのような、
きらめきを添える働きがあります。
私は、かぼちゃのスープを作るときに、
ほんの少しだけシナモンを入れます。
そうすると、
もともと甘いかぼちゃが、
一層甘く感じられるのです。
ただ甘いだけではなく、
そこに奥深さが生まれるのです。
シナモンをほんの少し加えることで、
かぼちゃがもともと持っている甘みや豊かさが、
より引き出されるのです。
まさに、子音の働きは、
シナモンの働きそのものです。
母音と子音
広がるものと、形を与えるもの。
流れていくものと、方向を示すもの。
どちらか一方が優れているのではなく、
両方があって、言葉は生きたものになります。
いつも話している何気ないひと言の中にも、
まだ出会っていない響きが隠れているかもしれません。
今日も、ご自分の声に耳を澄ませてみてくださいね。
思わぬ発見があるかもしれません。
アトリエ・カンテレ 平井久仁子
