
北海道のひびきの村での
サマープログラムを終えて、
東京へ帰ってきました。
私にとって、
ひびきの村は初めて訪れる場所でした。
ずっと一度訪れてみたいと思っていたところへ、
今回は講師として呼んでいただくことになり、
本当に夢のような時間でした。
そして、
もうひとつ初めての経験がありました。
それは、7日間、
毎日少しずつ積み重ねていく講座です。
これまで私が担当してきた講座は、
長くても3日間。
7日間という時間の中で、
毎日声と身体に向き合いながら、
その変化を見ていくというスタイルは、
私にとっても初めてのことでした。
今回の講座では、
まず基礎となるエクササイズを、
丁寧に、何度も繰り返しました。
ただ、
その場でできるようになることが
目的ではありません。
自宅へ戻ってからも、
一人で続けていけるように。
そして、
自分自身の声の変化を感じながら、
エクササイズと付き合っていけるように。
そんなことを大切にしながら進めていきました。
そして、
合唱にも取り組み、
最後には3曲を皆さんと一緒に歌うことができました。
集まった方たちは、
本当にさまざまでした。
音を取ることが難しい方。
喉に緊張があって、
声を出すことそのものに違和感を感じている方。
声を出すことに少し怖さを感じている方。
それぞれが、
それぞれの場所から始まりました。
けれど、1日、
また1日と時間を重ねるうちに、
少しずつ響きが変わっていきました。
最初の日にはまだなかったものが、
次の日には生まれている。
そして、
その次の日には、
また違う響きになっている。
7日間という時間があったからこそ、
その変化を感じることができたのだと思います。
そして最後には、
誰が欠けても生まれなかった、
その人たちだからこその響きが生まれていました。
私は、それがとても嬉しかったのです。
もうひとつ、
今回とても印象に残ったことがあります。
私はエクササイズをするたびに、
「今、どんな感じがしましたか?」
と、皆さんに尋ねていました。
すると、
返ってくる答えがとても興味深いのです。
「そんなふうに感じるのか!」
「なるほど、そういうこともあるのか!」
私自身が思ってもみなかったような言葉が、
次々と出てきました。
そして、
その言葉によって、
私自身もエクササイズの新しい側面に
気づかせてもらったのです。
そこで、私は恩師の言葉を思い出しました。
恩師は、よく
「エクササイズと友達になってね」
と言っていました。
いつもやっているエクササイズだからといって、
何も考えず、ただルーティンのようにこなしてしまったら、
そこから新しいものを受け取ることはできない。
でも、
まるで初めてやるような、
新鮮な気持ちで行ってみる。
そうすると、そこに新しい発見がある。
そんなことを教えてくれました。
今回、皆さんの感じたことを聞きながら、
私はその言葉をもう一度、
改めて嚙み締めました。
私は「Uncovering the Voice」を学び始めて、
23年になります。
23年間、
何度も何度も繰り返してきたエクササイズがあります。
それでも、
「まだ、こんな見方があったんだ」
と思う瞬間がある。
そして、
それは自分一人で考えているだけでは、
なかなか見つからないものなのかもしれません。
誰かが感じたこと。
誰かが発したひとこと。
その人の身体から生まれた小さな変化。
それらが、
私の中にあるものを照らしてくれることがあります。
教えるということは、
知っていることを一方的に渡すことではなく、
一緒に探しながら、
自分自身もまた新しいものに出会っていくこと。
今回の7日間は、
私にとってそんな時間でもありました。
北海道で出会った皆さんから、
たくさんの新しい視点をいただきました。
そして、
23年続けてきたものが、
まだ終わっていないこと。
まだまだ新しい発見があること。
そのことを、とても嬉しく感じています。
これからも、
エクササイズと友達でいながら、
そのたびに「今日は何が見つかるだろう?」と、
新鮮な気持ちで声と向き合っていきたいと思います。
アトリエ・カンテレ 平井久仁子
