
2026年6月21日は夏至です。
一年の中で最も昼が長く、太陽の力が満ちる日です。
私がフィンランドで暮らしていた頃、
この日はとても特別な日でした。
フィンランドでは夏至祭を「ユハヌス」と呼びます。
作物の豊作を祈り、悪霊を追い払うための祝祭です。
日本のお正月やお盆のように、
多くの人が家族と過ごす大切な日です。
街は静かになり、
人々は湖畔のサマーコテージへ向かいます。
サウナに入り、湖で泳ぎ、
家族や友人と食卓を囲みながら、
ゆったりとした時間を過ごします。
夏至の日は異界の門が開き、
魔女や妖精が悪さをすると信じられています。
夜になると悪霊を追い払うために、
大きなかがり火が焚かれます。
フィンランド語では「コッコ」と呼ばれます。
地域によっては、
いかだの上に乗せた松明を湖や海に浮かべる風習もあります。
火のゆらめきが水面に映る光景は、とても幻想的です。
また、この頃から夏休みに入る人も多く、
フィンランド全体が「自然の時間」に
戻っていくような感覚があります。
夏至の頃のフィンランドは白夜の季節。
夜10時を過ぎても空は明るく、
真夜中になってもどこか夕暮れのような光が残っています。
そんな夏至には、こんな可愛らしい言い伝えもあります。
未婚の女性が7種類の野花を摘み、
それを枕の下に敷いて眠ると、
夢の中に未来の伴侶が現れるというものです。
自然と人の暮らしが深く結びついている
フィンランドらしい伝承ですね。
日本では夏至を特別に意識する機会は
あまり多くないかもしれません。
けれど、
ちょうどこの時期から、太陽はかに座へと入ります。
占星術でかに座は
「家庭」「家族」「先祖」「ルーツ」を象徴する星座です。
そう考えると、夏至の日に家族が集まり、
共に過ごすフィンランドの風習は、
とても理にかなっているように感じます。
光が最も強くなるこの時期は、
外へ向かう前に、
自分の原点へ立ち返る時間なのかもしれません。
私はどこから来たのか。
何を大切にして生きてきたのか。
どんな人たちの願いや祈りの先に、今ここにいるのか。
そんなことを静かに見つめる時間です。
そして、
そのルーツをしっかりと感じたあと、
太陽は次のしし座へ向かいます。
しし座は自己表現や創造性、
人生を輝かせるエネルギーを象徴する星座。
根を深く張った木が、
やがて大きく枝葉を広げるように。
まずは自分の原点に触れ、
そのあとに自分らしい表現を世界へ届けていく。
夏至は、
その境目に立つ美しい節目なのかもしれません。
今年の夏至、少しだけ立ち止まって、
ご自身のルーツや大切な人たちに思いを馳せてみませんか。
光が最も長く降り注ぐ一日が、
皆さまにとって豊かな時間となりますように。
ヒュヴァー ユハンヌスタ!
(良い夏至を!)
アトリエ・カンテレ 平井久仁子
